沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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198)保険・貯蓄・投資

先日、妻がママ友とランチを楽しんだ際、医療保険やらガン保険やらの話を聞いたらしく、
私に、「うちは、大丈夫なの?」
と、心配そうに真顔で尋ねてきた。

一応、簡単に説明はしたが、妻が本当に理解したかどうかは不明。

保険というのは、「万が一」や「将来」に対する「備え」だ。

万が一の死亡に備える死亡保険。
万が一の病気に備える医療保険。
万が一のガンに備えるガン保険。
万が一の怪我に備える傷害保険。
万が一の事故に備える損害保険。
将来の教育費に備える学資保険。
将来の老後費に備える個人年金保険。

ごく普通の家庭でも、上記の保険全てに加入しているかもね。
日本人は、それほど、保険が大好きな国民とも言える。

確かに、保険を掛けていれば、すこぶる「安心」できる。
だが、保険料というのは、家計を圧迫しかねない大きな支出だ。
ライフ・ステージや家庭事情に合わせて「賢く」保険を選ぶべし、だ。

保険会社の金融機関としての運用実績を全く考慮しなければ、
顧客が支払う保険料だけで、
顧客にバックされる「保険金」と保険会社の「儲け」
の両方を賄っている計算になる。

つまり、保険で「確実に」トク(得)するのは保険会社だけなのだ。
勿論、顧客の中には、運よくトクする人もいようが、
それは、圧倒的多数の顧客のソン(損)の上に成り立っているに過ぎない。

従って、保険というのは、大多数が確実にソンをするシロモノなのだ。

とは言え、保険制度を否定するつもりはサラサラない。
保険は、この世の中に絶対に必要なインフラである。
でも、誰に対しても等しく必要かと言えば、そうではない、ということ。

保険というのは、「万が一」や「将来」に対する「備え」だが、
その「万が一」や「将来」に直面した際に、
本当に「困る」場合にだけ賢く利用すべし、というのが結論。

例えば、十分な教育資金や老後資金を順調に積み立てていけるならば、学資保険や個人年金保険は不要である。
また、病気・ガン・怪我になっても、十分な余裕資金があるならば、医療保険・ガン保険・傷害保険は不要である。
さらには、現に扶養家族がいなければ、死亡保険は不要である。

そう考えると、社会人である限り、絶対に必要なのは損害保険、とりわけ「賠償責任保険」だけという結論になる。

当事務所のように交通事故事案を多く扱っていると、結構な頻度で相手方が「無保険」というケースに出くわす。
凶器とも言える自動車を運転するのに、保険を掛けないのは何故?という、本当にやるせない気持ちになってしまう。

損害賠償というのは、あくまでも「人様の損害」を賠償するのである。
自分一人の損害ならば、ある程度は想定もできようが、人様の損害、しかも、その人様は一人とは限らないワケで、どれほどの巨大な損害が発生するかは、皆目分からない話だ。
億単位の賠償金が発生するケースだってある。

億単位の賠償金をポ~ンとキャッシュで払える自信のある人以外は、賠償責任保険に加入しないという選択自体、到底あり得ない。
社会人としての「最低限度のマナー」だと断言できる。

無保険車のドライバーが、携帯電話をいじっているのを見ると、「携帯の前に保険だろ!」という怒りが湧き上がってくるよねえ。

自動車保険は当然として、自転車保険・日常生活賠償責任保険など、あらゆる生活上の「万が一」に確実に備えるべきである。
その備えを怠り、不幸にも「万が一」に遭遇してしまった場合、そこに待っているのは「泥沼の紛争」と「生活の崩壊」だけである。

ここに、驚くべきデータがある。
自動車の任意保険加入率だ。
何と、73.4%とのこと。
自動車共済を合算しても、85%程度なんだそうだ。
えっ……!と絶句してしまいそうな驚愕の数字だ。

この数字、限りなく100%に近づかないとダメだよなあ。

7台に1台が「無保険」ということか。
私の日頃の実感よりも、ずっと多い気がするねえ。

じゃあ、生命保険の加入率は?ということになるが、
これが、何と、20代以上の全国民が対象で、
男性80.9%、女性81.9%なり。

絶対に入るべき任意保険と、必ずしもそうでない生命保険。
にも関わらず、両者の加入率、さほど変わらないんだね……。

生命保険、とりわけ「死亡保険」というのは、
大黒柱に「万が一」が生じた場合の遺族の「生活保障」が目的だ。
だから、大黒柱でない人には不要だし、扶養家族がいない人にも不要だ。

でも、国民の8割が生命保険に加入している事実。
多くの国民が、明らかに不要な保険を掛け続けているということだ。

う~む。
ホントは、生命保険に入る前に、確実に、任意保険に入るべきなんだけどね。

私なりに結論づければ、

1)保険は、「万が一」の「家計破綻」にのみ備えるべし
2)近い「将来」への備え(教育)は、貯蓄で備えるべし
3)遠い「将来」への備え(老後)は、投資で備えるべし

ということになろうか。

教育資金は、確実に一定額が必要になるワケだから、元本保証の貯蓄で堅実にコツコツと備えるべし、ということ。
一方、老後資金は、不確定要素が多く、一体いくら必要になるかも分からないワケだから、多少のリスクを取ってでも、思い切った投資で運用しながら備えるべし、ということ。

我が家も、上記1)~3)のルールに従って、
1)保険は必要最小限に抑えつつ、
2)教育資金は、定期預金に毎月自動積立をし、
3)老後資金は、投資信託で毎月自動積立をしている。

その他、老後資金としては、自営業者の退職金制度である小規模企業共済や、自営業者の年金2階部分である弁護士国民年金基金を利用している。
これらは、掛金が全額所得控除となっているので、その節税効果は絶大で、利用しない手はない。

ということで、
以上、妻に対する「プレゼン」でしたとさ(笑)。