沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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236)船出には保険を

長かった娘の受験生活も終わりを迎えた。
残念ながら、第一志望の国立大学はダメだったが、
気持ちを切り替えて、第二志望の私立大学へ行くことに。

当然ながら、最も悔しいのは娘本人だし、
心の底から、「この大学で良かった」と思えるのは、
しばらく先のことかも知れない。

だが、前にも述べたとおり、
「選択を最善に変えていくのは自分自身」なのだから、
娘の奮起に期待しつつ、親としては、応援するのみだね。

それにしても、高3の秋になって、突然、
「国立も受ける」と言い出し、
それなりに自信をもって受験できるまで頑張った娘を、
親としては、本当に褒めてあげたいと思う。
大したもの!

とにかく、晴れて、大学生になることが決まったので、
これからバタバタと、新生活に向けた準備が始まる。

そもそも、娘が受験した3つの大学は、
すべて、所在地が都府県レベルで違っていたので、
どこの大学に行くか決まるまでは、
一人暮らしをするエリアさえ決まらないという状態。

で、行く大学が決まった当日、慌てて、ママと二人で出かけ、
泊りがけで、住むアパートを決めてきたという次第。

結果、運よく、いい物件を見つけられたようで、いい滑り出し。

さて、子供が大学に進学し、一人暮らしを始めるということ。
それは、子供にとっては、社会という大海原に出る「船出」だ。
それを見送る親としても、ホントに感慨深いものがある。

だが、親としては、ただ単に感慨にふけっている場合ではない。
そう、子供の船出には「保険」を見直す必要があるんだよね。

私見だが、保険商品は、次の3つの観点から選ぶべし。
(1)賠償の観点
(2)保障の観点
(3)補償の観点

で、優先順位としても、(1)(2)(3)の順番だ。

まず、絶対に考えないといけないのが「賠償リスク」。
例えば、子供が自転車で歩行者をケガさせてしまったり、
借りているアパートで火事を発生させてしまったりした場合、
その賠償額は一体いくらになるのか?
考えただけでもゾッとする話だ。

賠償リスクは、それこそ「金額が青天井」であり、
最も「家計破綻」に直結するリスクなので、
絶対に保険でカバーすべきリスクと言える。

次に、考えるべきなのが「保障」だ。
保障=「守る」ということだが、何を守るかと言えば、
子供の「大学生活」ということになる。
例えば、大黒柱の親が死亡・病気・失業などで無収入となった場合、
子供が大学生活を送り続けることが不可能となりかねない。
そうならないだけの十分な蓄えや生命保険への加入が無いならば、
育英費用などがカバーできる保険に入るべきだ。

そして、最後に考えるべきが「補償」だ。
要は、子供の身体・財産に関する損害を補填することだ。
例えば、せっかく買い揃えたアパートの家財道具が、
上の階の住人の「漏水」などで浸水して、全て壊れてしまった、
なんていうことは十分あり得る話。
もちろん、子供がケガしたり病気になったりした時の治療費も重荷だ。
これも、そういう事態に対応できる蓄えがないなら、保険に入るべし。

まあ、「保障」と「補償」については、
家庭ごとの懐事情によって、賢い選択をすべきであろう。
だが、「賠償」については、どれほどの蓄えがあっても、保険は必要だ。

では、賠償リスクに備える保険とは何か。

まずは、「個人賠償責任保険」だ。
これは、「住宅の所有・使用・管理」または「日常生活」に起因する事故で、
本人または家族が、他人にケガをさせたり、他人の物を壊し、
法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる、というもの。

つまり、この保険に加入することで、子供が自転車で歩行者にケガさせたり、
借りているアパートで漏水させて、階下の住人に被害を与えた場合など、
あらゆる賠償リスクに対応することが可能だ。

だが、個人賠償責任保険においては、
・職務の遂行中の事故
・車両等の所有や使用・管理により発生した事故
・他人からの借り物を壊すなどの事故
などは、保険対象外となっている。

これらは、保険事故としての発生リスクが異なるから、
また別の保険で対応せよというワケだ。

そこでクローズアップされるのが「借り物」という点。
当然、アパートは「借り物」である。

つまり、アパートの所有者(大家)に対する賠償については、
個人賠償責任保険では対応できないということなのだ。

そこで、加入すべきなのが「借家人賠償責任保険」。
これに加入すれば、大家さんへの賠償リスクもカバーできる。

要するに、アパートで何かをやらかした場合、
周りの住人への賠償は、個人賠償責任保険で、
大家さんへの賠償は、借家人賠償責任保険で、ということ。

ところで、私は、既に、個人賠償責任保険に加入している。
個人賠償責任保険は、「生計を一にする別居の未婚の子」も対象なので、
じゃあ、私の子もOKなんじゃね?とも思われる。

だが、どうも、そうでもないようだ。
「住宅の所有・使用・管理に起因する事故」という場合の「住宅」は、
当然と言えば当然だが、今の私の自宅を意味する。
そうすると、別の場所の「住宅の使用」については、
保険事故のリスクが異なってくるから、別の保険が必要らしいのだ。

以上は、私の「保険ブレーン」である保険代理店に御教示頂いた。
やはり、保険の理解・選択は難しい。
今回も、全て、信頼できる保険代理店にお任せして保険設計をするが、
保険設計を自分だけで完璧にするのは至難の業だ。

そう考えると、通販の自動車保険だけに加入して、
プロの保険代理店と交流がない人達は、保険設計が難しいだろうね。

私には、心強い「リスク・マネージャ」が付いていて、ホントに有り難い!

さあ、そんなこんなでバタバタしているうちに、
アッという間に、子供の新生活が始まる。

もちろん、親としては、嬉しいような……寂しいような……だね。

そうそう、先週、仕事で何度か特急に乗ったのだが、
なんと、同じ週に2回も、「2号車7番D」の席だった。
思わず、「おおっ!『ふ・な・で』(2・7・D)かあ…」なんて、
一人で、しんみりとしたことだった。
いやはや、ちょいと、重症ですな(笑)。