沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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257)ママチャリなるもの

当事務所の内田弁護士が、
学生時代に「ロードバイク」に乗っていて、
「一緒に走れる人探してるんですけどね」
などと話しており、
これは!と、ピ~~ンときて(笑)、
早速、私が真っ先に便乗することに。

50代に向けて、
「健康増進」と「趣味充実」
をテーマにしていたので、
まさに、ロードバイクは、一挙両得!だからね。

で、何人かの弁護士仲間に声をかけて、
有志の自転車サークルを作り、
現在まで、4名で2回の走行会を終えたところ。

何だか、スッカリ、自転車にはまってしまい、
「自転車おじさん」
「自転車に恋してる」
などと娘から、からかわれる毎日だ(笑)。

さてさて、自転車をちょっと勉強すると、
日本の「ママチャリ」なるものが、
如何に、特殊な乗り物であるかを知ることとなる。

ロードバイクに初めて乗ると、
まず、驚かされるのが、その「乗車姿勢」だ。

サドルが異常に高い!
上半身が異常に前のめり!

ところが、これを「異常」と感じるのは、
我々が、ママチャリに慣れてしまっているから。

御存知のとおり、
ママチャリのサドルは低く、
サドルに座ったままでも、地面に足がつく。
上半身なんて、地面とほぼ垂直だ。

でも、こんな乗車姿勢で乗る自転車は、
海外では市民権を得ていない、のだそうだ。

海外では、老若男女とわず、
サドルに座ったままでは、地面に足がつかず、
上半身は、前傾姿勢で乗る、
というのが常識的な乗り方、とのこと。

まさに、ママチャリなるものは、
「ガラケー」なんかと一緒で、
「ガラチャリ(ガラパゴス自転車)」なのだ。

では、何故、こんな特殊なママチャリが、
日本では、すっかりメジャーになったのだろうか。

ロードバイクは、
「速さ」と「長距離ライド」を追求した自転車。

つまり、サドルが高いということは、
それだけ、足を効率的に回転しやすいということ。

また、前傾姿勢になれば、
それだけ、空気抵抗も減るし、
ハンドル・ペダル・サドルに体重が分散されるので、
長距離を乗っていても、体が痛くなってこない。

そして、何よりも、車体が軽い!
ママチャリの重さが20kgを超えるのに対し、
ロードバイクの重さは、なんと10kg未満!
上級グレードになれば、7kgくらいだ。

加えて、変速ギアがもの凄い!
20~22段変速が主流だが、ギアの選択で、
上りは軽いギアで楽をしながら走り、
平地は重いギアで思い切り速く走る、
なんていうことが容易にできるワケだ。

で、ママチャリはというと、この真逆。
「遅さ」と「短距離ライド」に特化した自転車なのだ。

何故、わざわざ「遅さ」を追求したのかと言えば、
「歩行者と共存するため」なのだ。

海外では、「自転車は車道通行」が常識。
もちろん、「自転車道」の整備も進んでいる。

ところが、日本では、
「車道を自転車が通行するのは危ない!」
という世論が強かったのだろうか、
「自転車は歩道通行」が「事実上」の原則となった。

となると、自転車が高速走行できてしまうと、
今度は、歩行者にとって「危ない乗り物」になる。

というワケで、
日本にしかない「ママチャリ」なる自転車は、
「遅さ」と「短距離ライド」に特化してしまったのだ。

サドルを低くして、上半身を起こす、
これで、ペダルの回転効率を下げる。
さらに、車体を重くして、進みにくくする。
ギアもスピードの出ないギア比に固定する。
そして、サドルに全体重が乗るので、
短時間しか漕ぎ続けられない。

とまあ、よくできた設計なのだ。

では、「電動アシスト自転車」はどうなのか?
これは、モーターが付いているので、速いのでは?
とも思ってしまうが、実は、これも、
ちゃんと「遅く」なる仕組みになっているのだ。

なんと、時速24kmに達すると、
モーターの補助がストップするのだ。
当然、そうなれば、
ただ単に「異常に重いママチャリ」に変貌するだけ。

つまり、時速20km超の走行は想定されておらず、
電動アシスト自転車も、「歩行者との共存」が前提。

ロードバイクなんて、時速30kmが普通だし、
その気になれば、時速40km超だって出るから、
このスピードの差は歴然だよね。

とは言え、もちろん、日本でも、
「法律上」は、「自転車は車道通行」である。

道路交通法第17条第1項では、
「車両は、歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、
車道を通行しなければならない。」
と明記されている。

もちろん、「自転車=車両」なのである。
これも、道路交通法第2条に明記されている。

そして、自転車が「歩道通行」できるのは例外。
道路交通法第63条の4第1項では、例外事由として、
(1)「自転車通行可」の道路標識等がある場合
(2)13歳未満・70歳以上・障害者が運転する場合
(3)「安全確保」のため「やむを得ない」場合
の3つしか規定されていないのだ。

しかもだ、同条第2項では、歩道通行の場合、
「普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分
を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行
を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない」
とまで規定している。

でも、歩道上で、「どけどけ!」と言わんばかりに、
「チリンチリン」鳴らしながら、
我がもの顔で、歩道のど真ん中を走り去っていく自転車、
よく見かけるよね~。

何だか、ママチャリに乗る人達は、歩道通行が原則で、
あるときは、「歩行者のごとく」振る舞い、
またあるときは、「車両のごとく」振る舞って、
その運転たるや、危険極まりない!という感じだよね。

とにかく、自転車=車両で、車道走行が原則、
これは肝に銘じなければならない。

特に、ロードバイクは、速い乗り物なので、
歩道なんて走行したら、歩行者にとっては超危険。

従って、ロードバイクは、車道走行が基本。

私も、今のところは、
サイクリングロード中心の走行だけど、
いずれは、車道をキチンと走っていきたいっすね。
もちろん、道交法をピシーッと守って。

まあ、そういう視点で、街中の自転車を観察してると、
道交法違反だらけなんだよね。

「自転車=車両」という自覚のない自転車だらけだ。

これはひとえに、
「自転車=車道走行」が「法律上」の建前なのに、
「自転車=歩道走行」を「事実上」の原則にしたからだ。

まずは、国家レベルでの、自転車交通政策の見直しが必要。

そして、何よりも、中学・高校自体に、
徹底した「自転車教育」をすべきだね。ホントに。