沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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143)ミケーレ君

 今回は、どうでもいいような雑学ネタを。

 先日、妻の父母を連れて、知人が経営する洋食レストランに自慢のハンバーグ料理を食べに行った。
 その車中、義父母が住むマンションのご近所さん宅にイタリアから留学生がホームステイに来ているという話になった。

 でも、なかなか彼の名前が出てこない。
 義母いわく、「なんか、すごく変わった名前だったわよねえ……。」と。 

 数分間、義父母が、ああだこうだと格闘(笑)した挙句、ついに、義父が「ああ、そうだ。ミケーレ君じゃなかった?」と。
 義母も「ああ、そうそう。よく思い出せたわねえ。」ということで、ようやく一件落着。

 私も運転しながら、その会話を耳にしていたワケだが、「ミケーレ君?ひょっとすると、英語のマイケル君かもよ。だったら、ありふれた名前かもね。」なんて返した。

 で、ちょいと気になったので、ネットでサクッと調べてみたら、やはりそうであった。

 キリスト教(カトリック)の3大天使の1人に「ミカエル」という天使がいる。
 ちなみに、他の2人は、ガブリエルとラファエル。

 3大天使というくらいだから、キリスト教文化圏では、我が子にその名を付けようという人がたくさんいるワケで、「ミカエル」という名の人は欧米では山ほどいるのだ。

 ミカエル(Michael)というのはヘブライ語。
 
 これが英語になるとマイケル、ドイツ語ではミハエル、フランス語ではミッシェル、スペイン・ポルトガル語ではミゲル、フィンランド語ではミカ、ロシア語ではミハイル、そしてイタリア語ではミケーレとなるのだ。

 日本語でカタカナ表記すると全然違う名前のように思えてしまうが、アルファベット表記で考えると全く違和感はないんだよね。

 同じような例でいうと、英語の「チャールズ」なんかもそうだよなあ。

 英語のチャールズは、ドイツ語ではカール、フランス語ではシャルル、スペイン・ポルトガル語ではカルロス、イタリア語ではカルロ、ロシア語ではカルルとなる。

 同じアルファベット表記でも、読み方が国によって違うということなんだけど、漢字だって、同じ表記でも日中韓では読み方は違うはず。

 そう言えば、いつ頃からか、韓国の人名を「韓国語読み」するようになったねえ。

 私が中学生くらいの頃は、韓国の「金大中」氏は、「キン・ダイチュウ」氏と報道されていた気がするが、いつの間にか、「キム・デジュン」氏と報道されるようになった。

 で、これもネットで調べてみたら、1984年(昭和59年)に日韓政府で、両国の人名を互いに「現地読み」で呼ぶことで合意したのだそうだ。
 どうも、韓国サイドからのクレームによるものらしい。

 でも、中国の場合は、1972年(昭和47年)の日中国交回復の会談時に、両国の人名を互いに「報道国サイドでの読み方」で呼ぶことで合意したまま、現在に至るのだそうだ。
 確かに、習近平は、「シュウ・キンペイ」と報道されているね。現地読みでは「シー・ジンピン」だそうだけど。

 なるほど、すこぶる政治的な話なのね。

 まあ、欧米の人名に話題を戻すと、ヨーロッパには元々「苗字」というものが無く、「○○の息子(娘)の△△」という表現で個人を特定したのだそうだ。
 アイスランドでは、今でも苗字がなく、この伝統を残しているそうだ。

 で、苗字ができた今でも、欧米の苗字にはその名残があり、ざっと挙げてみても、こんなにたくさんある。

 マック~(スコットランド) マクドナルド(ドナルドの息子)
               マッカーサー(アーサーの息子)
 ~ソン(イングランド)   ジョンソン(ジョンの息子)
 ~セン(北欧系)      アンデルセン(アンデルの息子)
 ~ビッチ(スラブ系)    イワノビッチ(イワンの息子)
 ~ヤン(アルメニア系)   カラヤン(カラの息子)
 ~スキー(ロシア)     アダムスキー(アダムの息子)
 ~スカヤ(ロシア)     スターリンスカヤ(スターリンの娘)

 つまり、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)という名は、「ジャックの息子のミカエル」という意味になるんだねえ。

 さらに言うと、ジャックというのは「ジェイコブ」(Jacob)の愛称である。
 ジェイコブは、ヘブライ語では「ヤコブ」。
 そう、聖書の世界では、ユダヤ人の祖であったり、イエス・キリストの12使徒の1人であったりと、とっても重要な人物に付けられた超メジャーな名だ。

 ということは、マイケル・ジャクソンという名は、メチャメチャ、キリスト教チックな名なんだねえ。
 何しろ、「ヤコブの息子のミカエル」だもんねえ。

 日本人には、この「愛称」というのも、なんだか馴染みがなくて分かりにくい。

 愛称と正式名の対比をざっと挙げるとこんな感じ。

 バービー(愛称) バーバラ(正式名)
 ベッキー     レベッカ
 ベン       ベンジャミン
 ベス・ベティ   エリザベス
 ボブ・ボビー   ロバート
 チャック     チャールズ
 ディック     リチャード
 ドン       ドナルド
 ジャック     ジェイコブ
 ジョー      ジョセフ
 ケイ・キティ   キャサリン
 ルー       ルイス
 ローラ      ドロレス
 マギー      マーガレット
 ミッキー     マイケル
 ニック      ニコラス
 サム       サミュエル
 スー       スーザン
 テッド・テディ  セオドア
 テリー      テレンス
 トム       トーマス
 トニー      アンソニー
 ウィリー     ウィリアム

 と言うことは、ドン小西は「ドナルド小西」、ルー大柴は「ルイス大柴」、ミッキー・マウスは「マイケル・マウス」っていうのが正式名なのね(笑)。まあ、芸名の由来は違うだろうけど。
 やっぱり、愛称じゃないと親近感がわかないもんだねえ。

 そうそう、デンマークのサッカー選手に「ミカエル・ヤコブセン」ていう人がいるけど、これって、「マイケル・ジャクソン」と「同姓同名」っていうことだね(笑)。