沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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11)梅雨時の七夕

 昨日は「七夕」であった。
 娘が夜空を見ながら、「天の川、見えないねえ。でも、何で、七夕ってわざわざ梅雨の時期にやるんだろ?いっつも曇ってて見えないじゃん。」などとブツブツ言っていた。確かにそのとおりだ。
 梅雨時に七夕をやる理由は単純で、旧暦と新暦で1ヶ月ほどの「ズレ」が生じてしまったからだが、本来ならば、旧暦にまつわる行事は旧暦を基準に統一してしまうべきであったろう。

  七夕祭りは、地方によっては、今でも旧暦を基準にされているようだ。わざわざ梅雨時にやるよりは、「天の川」が見える確率は相当高いらしい。
 データ上も、旧暦の七夕の方が新暦の七夕よりも「晴れる」確率は2倍以上だし、旧暦の七夕は必ず「上弦の月」なので、天の川が見えやすいのだそうだ。
 昨日は、曇り云々よりも、そもそも「満月」だったので、夜空が明るすぎて天の川が全く見えなかったのだ。
 まあ、娘は、小遣いで買った自分のカメラで、楽しそうに「満月」をパシャパシャ撮っていたが…。
 ちなみに、旧暦の七夕は、今年は8月26日になるそうだ。今度こそ、娘と天の川を見てみたいものだ。
 
 ところで、旧暦の月の呼称には季節を中心とした「意味」がある。各月の呼称の由来(但し、諸説あり)は次のとおりだ。

 1月 睦月(今の2月頃) 親族一同が集って宴をする月で「睦び月(むつびつき)」
 2月 如月(今の3月頃) まだ寒さが残っていて、衣(きぬ)を更に着る月で「衣更着(きさらぎ)」
 3月 弥生(今の4月頃) 草木がいよいよ生い茂る月で「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」
 4月 卯月(今の5月頃) 卯の花が咲く月で「卯の花月(うのはなづき)」
 5月 皐月(今の6月頃) 田植をする月で「早苗月(さなへつき)」
 6月 水無月(今の7月頃) 梅雨が明けて水が涸れてなくなる月で「水無月(みなづき)」
 7月 文月(今の8月頃)  七夕に詩歌を献じたり、書物を夜風に曝す風習がある月で「文月(ふづき)」
 8月 葉月(今の9月頃) 木の葉が紅葉して落ちる月で「葉月(はづき)」
 9月 長月(今の10月頃) 秋の夜長で「夜長月(よながつき)」
 10月 神無月(今の11月頃) 出雲大社に全国の神が集まって一年の事を話し合うため、出雲大社以外には神がいなくなる月で「神無月(かんなづき)」→出雲では「神在月(かみありづき)」
 11月 霜月(今の12月頃) 文字通り霜が降る月で「霜月(しもつき)」
 12月 師走(今の1月頃) 師(僧侶)が走り回るほど忙しくなる月で「師走(しはす)」

 う~む、やっぱり、旧暦の呼称の方が味わいがあるし、風情がある。無味乾燥な数字による呼称よりは、よっぽど「文化的な香り」も漂っている気がする。

 旧暦の意味をちゃんと知れば、「五月雨」が「梅雨の別名」であることや、「五月晴れ」が「梅雨の晴れ間」のことであることも容易に理解できるし、「6月なのに水無月?8月なのに葉月?」などと悩むことも無くなるだろう。
 古くから伝わる言葉は、旧暦を基準に考えなくては理解できないものが多い。是非とも、学校で教えて欲しい内容だ。

 ちなみに、日本では、1872年(明治5年)に、従来の太陽太陰暦を廃して、翌年から太陽暦を採用することとなり、旧暦の明治5年12月3日がいきなり新暦の明治6年1月1日とされたそうだ。
 とすれば、日本史上の重要な「日」も、あくまでも旧暦だということを前提に解釈しないと、「今日は○○が△△した日なんだなあ…」などと意味の無い日に妙な感慨に耽ってしまうことになる…。