沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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217)リ・スタート

ふい~っ……。
今日は、ホントにイヤ~~な脱力感に包まれている。

昨日(7月22日)、三重弁護士会の臨時総会が開催され、
長らくの懸案事項であった「新会館」建設議案が、僅差で「否決」された。

2年前、私の会長時代に「新会館建設用地」を入札で取得したワケだが、
事情を知らない方々からすれば、
「せっかく土地を取得したのに、何で、建設自体が否決されるの?」
と摩訶不思議な感情を抱かれるに違いない。

現に、アドバイザリー契約を締結している一級建築士も、
新会館建設議案が、可決にしろ、否決にしろ、僅差となることが確実なので、
予断を許さない情勢であると説明したところ、
「???」という表情をされていた。

弁護士たるもの、「理念と論理」で激論を交わせば良いし、
そのようなマトモなバトルを経た上での「否決」なら、まあ、仕方ない。

だが、ここ数年来の三重弁護士会では、そんなマトモなバトルは展開されない。
ハッキリ言えば、ピントをずらした反対論しか聞かれない。

何故なら、重要議案における賛否の判断が、
「理性」ではなく、政治的な「力学」に拠っているからだ。

今回、執行部が提案した建設案は、「圧倒的多数」の支持を得た。
にも関わらず、否決されてしまった理由は、
重要な財産を取得する場合、
出席者の3分の2以上の「特別多数」の賛成を得ないと可決されない、
という弁護士会のルールがある為だ。

この「3分の2」というハードルは異常に高い。

会館問題は、もう10年近くに及ぶ懸案事項である。
平成23年2月には、土地を購入しようと提案したが、
可決ラインに「7票」足りず(賛成78)、否決された。
平成26年6月には、土地の入札に参加しようと提案し、
可決ラインを「3票」超えて(賛成114)、可決された。
そして、今回、新会館建設の提案は、
可決ラインに「4票」足りず(賛成113)、否決された。

価値観が厳しく対立する問題というのは、
一般的には、ほぼ「2:6:2の法則」が当てはまる。
信念を以て「賛成」する人が2割、
信念を以て「反対」する人が2割、
理由はともかく「無関心」な人が6割、
といった感じだ。

だから、「3分の2」(=15分の10)を取ろうと思えば、
固い「賛成派」(15分の3)に加えて、
「無関心層」(15分の9)のうちから、
「15分の7」を賛成派に取り込む必要がある。
つまり、無関心層の「8割」近くを賛成に向かわせないといけないのだ。

ちょっと考えただけでも、このハードルの高さは厳しい。
これまでの会館問題の総会議決は、全て1ケタの僅差であり、
このハードルの高さを如実に物語っている。

まあ、何はともあれ、否決されたからには、リ・スタートである。

私が弁護士会会長として、土地の入札・落札、既存建物の解体・更地化を実施し、
その後、私が会館建設委員会委員長として、
1年以上をかけて計画してきた建設案が、今回否決されたという次第。

当然、次年度以降、会長・委員長を一新した新体制で「再提案」をすることになろう。
私も、2年超もの間、この問題の中心にいて、さすがに疲れたしね……。

とにかく、土地を取得している以上、建てないという選択はあり得ない。
勿論、土地を売却するにも「3分の2」の賛成が必要なり。

現会館は、会員数が60名の時に建設されたもの。
当時は、会員数が100名に達するなんて夢想だにしていなかった時代。
ところが、今や、会員数は186名である。
当然、事務員も大幅に増え、現会館が手狭になっているのは明らか。
事務局スペースの狭さは、10年前から指摘されていることで、
ホントに、今の職場環境は、事務員が可哀想すぎる。

今なら、史上最低の超低金利だし、消費税も8%のままで契約できる。
今後、東京五輪が近づくにつれて、建築費が高騰するのは目に見えている。
経済合理性を考えれば、建築が遅れれば遅れるほど、会員全員の損失である。
こんな簡単なことが分からない者は一人もいまい。

にも関わらず、政治的力学によって動かされてしまう者たち。

何らかの信念を以て反対している者には、何も言うことはない。
だが、何らかの事情で「反対せざるを得なかった」者には、猛省と再考を望む。