沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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232)平均値=「上流」なり

弁護士を含む「士業」という職業は、
企業や自治体等に生涯勤務し続ける場合は特例として、
いずれは、事務所「経営者」とならねばならない。

で、独立開業するに際しては、
「一体、どれくらいの売上が必要なのか?」
ということが、最大の関心事となってくるはず。

後輩弁護士から、このことを尋ねられれば、
私は、取り敢えず、次のように答える。

「事務所人数×1000万円!」を目指すべし!

つまり、弁護士1名・事務員1名なら、2000万円なり。

これには、それなりの理由がある。
実は、この金額が、法律事務所の「平均売上高」だからだ。

総務省統計局が実施している「経済センサス活動調査」によれば、
主な士業の「従業者1人当たり平均売上高」は、次のとおり。

法律事務所(弁護士)
1040万円
特許事務所(弁理士)
1646万円
公認会計士事務所
1188万円
税理士事務所
793万円
司法書士事務所
681万円
土地家屋調査士事務所
503万円
社会保険労務士事務所
530万円
行政書士事務所
360万円

各士業によって、そのビジネスモデルが全く違うので、
各士業相互を比較すること自体には意味がない。
従って、上の序列は、各士業の優劣とは無関係である。

クライアントが大企業中心ならば単価自体が高いはずだし、
必要な事務所規模の違いでコストも相当違ってくるしね。

だが、各業界における「平均値」を知ることは大切だ。

そして、その平均値というのは、
決して「人並み」ではないということ。
ここが大切なポイント。

学校のテスト結果のように、
ある程度「正規分布」に近い形態となる場合は、
平均値=偏差値50=人並み
という図式が確かに成立するのだが、
こと「お金」に関するデータは、正規分布とはならない。

上位データは、際限なく「異常値」を示すからね。
最近の報道では、世界のたった「8人」の大金持ちの資産が、
世界の下位「36億人」(!)の資産と同額だって言うからね。

そのような、とてつもない異常値に引っ張られて、
最頻値 < 中央値 < 平均値
という図式になってしまうというワケ。

最頻値というのは、最も高い「山」の部分の値で、
中央値というのは、データ数の「ど真ん中」の値。

例えば、「世帯あたりの所得額」は、
平均値=541万円
中央値=427万円
最頻値=200~300万円
という感じだし、

さらには、「既婚サラリーマン世帯の貯蓄額」は、
平均値=1309万円
中央値= 711万円
最頻値= 100万円未満
という感じだ。

平均値=人並みという感覚で、上記データを見ると、
ほとんどの人が、「ゾッと」してしまうだろう。

そうしてみると、むしろ、
平均値=「上流」
中央値=「中流」
最頻値=「人並み」
という表現の方が、シックリくることが分かる。

だからこそ、「相対的貧困率」という場合も、
「全人口の中央値の半分未満の所得層比率」
ということで、中央値を基準に算出している。
要は、中流家庭の半分未満の所得=貧困という話。

つまり、お金の話で「平均値」というのは、
「上流」そのものだ、ということなんだね。

だから、各士業も、まずは各業界での「平均」を目指すべし!

で、当事務所の場合であれば、
弁護士3名・事務員3名なので、6000万円となる。

ところが、売上高は、多ければ多いほどよいワケでもない。

昨年は、当事務所は、例年にないくらい多忙を極めた。
お陰様で、売上高も、それに「比例」して増えた。

ざっと集計したところでは、一昨年の「20%増」の売上。
振り返れば、一昨年までは、「完全土日休業」だったのが、
昨年は、「土曜仕事」が常態化してしまった。
結局、週5日労働が、週6日労働になったワケで、
労働時間も「20%増」だったんだよねえ……。

まさしく、我々の仕事は、
「時間の切り売り」であることを痛感した1年であった。

つまり、
「多すぎる売上高=多すぎる労働時間」
ということなワケだから、心身の健康を保つためには、
やはり「平均値で十分」なのだ。

私の感覚では、
平均値のとおり =青信号
平均値の1.5倍=黄信号
平均値の2倍  =赤信号
ていう感じかね。

よって、当事務所としては、本年以降、
6000万円~9000万円
の売上高を目指す!という結論に至る。

まあ、とは言え、何はさておき、
「完全土日休業」
を早期に実現したいもんすねえ。シミジミ……。