沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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111)B to B マーケティング

 2013年!!
 明けまして、おめでとうございます!!
 昨年は、本当に多くの方々にお世話になりました。
 改めて、深く御礼を申し上げます。
 本年も引き続き、ソレイユ経営法律事務所を、何卒、よろしくお願い申し上げます!!

 さあ、いよいよ新年の幕開けだ!!
 お陰様で、この年末年始は、とっても幸せな時間を過ごしつつ、気力・体力ともに充実している感がある。
 ホントに有難い限りだ。

 昨年末は、27日から大晦日まで、かねてから夫婦で「行きたい!」と思っていた<由布院温泉>と<黒川温泉>に妻の父母も連れて出かけ、家族6名での九州旅行をエンジョイしてきた。

 普通なら、九州へは飛行機で行くところなのだろうが、今回はちょっと趣向を変えて、乗り慣れているマイカーで出かけみようと思い、神戸~大分間をフェリーで移動するという旅を選択した。
 フェリーで往復2泊するという「初体験」に子供たちも大喜びで、なかなか楽しい時間を過ごせた。

 憧れの由布院温泉での宿は、当地の「御三家」とも言われている高級宿で、お値段は相当(!)なものだったが、それに見合う価値は十二分にあり、ホントに格別な時間を過ごさせてもらった。
 まさに「時間を買う」とはこのことだなあ。

 今度は、夫婦の「銀婚式」にでも、2人だけで来ようかね(笑)。

 旅行中は天候が全般的にすぐれなかったのだが、1日だけ絶好の行楽日和となり、うまい具合にドンピシャで「人力車」も家族全員で初体験することが出来たのであった。
 いやあ、ホントに大・大満足の旅であった。

 昨年は、新事務所オープンという一大転換期を迎えたが、この旅行でシッカリと「充電」もできたし、2年目の勝負の年である今年は、大いなる活力に充ちたスタートを切れそうである。

 さてさて、今年はと言えば、四日市という地方都市に、ちょっとした「大波」が押し寄せるのでは?と言われている。
 まあ、弁護士業界に限ったニッチな話題なのだが。

 何のことか?と言うと、TVコマーシャルでも有名な全国展開中の某大手法律事務所の四日市支店が昨年末にオープンし、いよいよ今年は弁護士業界の競争が激化するのでは?との懸念が生じているからである。

 大手法律事務所が三重県に進出して来るのは今回が初めてのことで、選りによって「何で、四日市なの?」と言いたくもなる。
 現に「どうしよう……」と思っている四日市の弁護士も多いかも。

 だが、私自身は、その大手法律事務所と当事務所とでは、ターゲットにしているマーケットが違うのであって、何ら恐れる必要はないと確信している。

 某大手法律事務所のターゲットはズバリ「一般消費者」であり、その豊富な資金力を背景とした広告戦略によって、事務所を「ブランド化」しつつ、圧倒的な「集客力」でドンドン受任していくという手法である。

 つまり、典型的な「B to Cマーケティング」なのである。
 ここで言うBとはビジネス(事業者)のことで、Cとはコンシューマー(消費者)のことである。

 要するに、法律事務所(B)が消費者(C)に直接的に働きかけて、次々と契約関係を築いていくというスタイルなワケだ。

 一般の消費者が弁護士と付き合うのは、一生に一度きりであることが多い。
 と言うことは、消費者は、弁護士の優劣を見極める「眼」を十分に持ち合わせていない。
 必然的に、知名度優先・イメージ優先で弁護士を選ぶことになろう。

 そうなると、広告をバンバン打っている法律事務所が圧倒的に有利となり、資金力の多寡で集客力自体が決定されてしまいかねない。

 結果、零細な個人事務所はジリ貧状態に……なんてことが容易に想定されるのであろう。

 だが、それは「杞憂」というものである。
 何も、同じ土俵で戦う必要など微塵もないからである。

 そもそも、弁護士が事件を受任する際、圧倒的に多いパターンは、昔も今も、誰かの「紹介」である。

 依頼をする側の気持ちになって考えれば、不幸にも法的紛争に巻き込まれてしまった場合、まずは、家族・知人に「いい弁護士知らない?」と聞くはずである。

 実際、当事務所でも、いわゆる「飛び込み」の依頼者というのは極少数にとどまっている。

 莫大な固定費を捻出せねばならない大事務所においては、ドンドン飛び込みの依頼者を集め続けなければ事務所自体が維持できないのであろうが、当事務所のような零細事務所であれば、いわゆる「紹介ルート」での受任案件を丁寧に遂行していくだけで、十分に事務所経営は成り立つのである。

 別の言い方をすれば、広告戦略で集客の対象となるのは「紹介ルートを持たない消費者だけ」ということなのである。

 とすれば、紹介ルートとなるネットワークを網の目のようにドンドン広げていけば、広告戦略を主軸とするB to Cマーケティングと同じ土俵で「戦う必要すら無くなる」ということだ。

 要は、私という弁護士を紹介してくれる人脈をドンドン築いていくことが最大の生き残り戦略というワケである。

 これ即ち、「B to Bマーケティング」なのである。

 法律問題を抱えやすい人々を顧客にしている事業者は意外に多い。
 そのような事業者と接点を持ち、信頼関係を築いていくことで、「何か問題が発生したら、あの弁護士を紹介してあげよう。」という暗黙のルールが出来上がっていくはず。

 また、中小企業の経営者との人脈を築いていくことで、いずれは顧問弁護士となり、企業法務や役員・従業員の法律問題に携わる機会も確保できる。

 そう、B to Bマーケティングは、弁護士(B)と事業者(B)との「信頼関係」を基礎としたネットワーク戦略なのであり、広告戦略を主軸としたB to Cマーケティングとは全くバッティングしないのである。

 言ってみれば、B to C市場は「レッド・オーシャン」(血で血を洗う競争の激しい領域)であり、B to B市場は「ブルー・オーシャン」(競合相手の少ない領域)なのである。

 当事務所は、このHP以外、全く広告を出していない。
 でも、お陰様で、仕事は十分過ぎるほどに忙しい。

 四日市には、広告も出さず、HPすらも作成していない後輩弁護士がいるが、毎年、顧問先は増え続け、事務所経営は順調そのもののようだ。

 如何に巧みな広告戦略でも、既に構築された強固な人的ネットワークには太刀打ち出来ない。

 弁護士の仕事というのは、究極的には、弁護士自身が「商品」である。

 組織は大きくなればなるほど「個性=人間性」を失ってくる。
 企業も同様で、中小企業の場合、経営者の「個性=人間性」がそのまま企業自身の「個性=人間性」として顕在化してくる。

 だからこそ、弁護士と中小企業との繋がりは「信頼関係」という「個性=人間性」を基礎とした「濃い関係」に発展し易いのである。

 当事務所は、今年も、より一層「人間くさい」やり方で、1つ1つの人脈を大切に育んでいきたいと思う。

 それこそが、B to Cマーケティングとは異次元のB to Bマーケティングの実践に他ならないと信じてやまないので。