沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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238)経営者の使命

早い!
アッという間に、新年度のスタート。

そして、上の子の「一人暮らし」もスタート。

最初の数日間だけは、新生活準備のサポートで、
妻も同行しているので、今、我が家は「二人暮らし」。

それにしても、
4人が3人に減るだけで、ググッと寂しくなるよねえ…。

まあ、外国に行くワケじゃないし、
新幹線に乗っちゃえば、すぐに会えるんだけどね。

とにかく、親としては、シッカリ「仕送り」するのみ。
で、仕送りをするには、シッカリ「経営」をしないとね。

当事務所も、弁護士3名・事務員3名となったので、
経営者としての責任も、ドッと増した感じ。

経営者の使命。

こう言うと、何か、
・日本経済に貢献すること
・地域社会に貢献すること
・企業を成長させること
なんていう大きな話を想定しがちかも知れない。

だが、最も大切な経営者の使命は、
「企業をつぶさないこと」
という1点に尽きる。

企業というのは、一旦、社会に誕生したら、
その内外には、ありとあらゆる人々が関係してくる。

特に、経営者・従業員とその家族たち。
企業がつぶれたら、全員、路頭に迷いかねない。

関係者全員の「生活を守る」こと、
これこそが、経営者の最大の使命だ。

ところが、中小企業の経営者と話をしていると、
そういう感覚に乏しい経営者が多いことに驚かされる。

企業をつぶさないためには、
毎月の「数字のチェック」が欠かせない。

だが、どの数字をチェックするのかが大問題だ。

毎月の「売上」だけチェックするのは「三流」、
毎月の「損益」までチェックするのは「二流」、
毎月の「収支」をもチェックするのが「一流」だ。

ん?「損益」と「収支」は何がちがうの?
と思われる方もいるかも知れない。

損益は、「取引ベース」の話。
普通の会計原則に従った考え方で、
「損益=収益-費用」
ということになる。

収支は、「現金ベース」の話。
実際の入出金を追ったもので、
「収支=収入-支出」
ということになる。

企業というのは、どういう時に「つぶれる」のか。
答えは、たった1つである。

それは、「現金が枯渇した時」である。

つまり、
黒字でも倒産することがあるし、
赤字でも倒産しないことがある、
ということ。

なぜ、こういうことが起こるかと言えば、
会計原則が「発生主義」という考え方を採用しており、
「収益」と「収入」
「費用」と「支出」
が一致せず、ひいては、
「損益」と「収支」
が一致しないからだ。

例えば、「掛け」で売買する場合。
商品を掛けで売れば、売掛金となり、
「収益」は計上されるが、「収入」にはならない。
同じく、商品を掛けで買えば、買掛金となり、
「費用」は計上されるが、「支出」にはならない。

さらに、損益に関係ない取引の場合。
投資活動で機械を購入すれば、
「費用」にはならないが(=資産)、「支出」になる。
また、財務活動で借金をすれば、
「収益」にはならないが(=負債)、「収入」になる。

もっと言えば、
「利益」が出ていても、そこから、
「納税」も「借金返済」も「投資資金」も捻出するワケで、
「損益」だけを見ていたのでは、訳が分からなくなる。

とにかく、現金が潤沢にあれば、企業はつぶれない。

このことは、経営者は、ホントに肝に銘じるべきだ。

日本を代表する企業のトヨタ自動車。
同社の「現金」(預金)の保有額は桁違いにスゴイ!
なんと、「6兆円」近いというのである。
巷では、「トヨタ銀行」と言われる所以である。

同社が抱える経営リスクは、何と言っても「為替」だ。
為替が、たった「1円」円高に振れるだけで、
「400億円」の年間利益が吹っ飛ぶという。

つまり、同社は、その潤沢な現金により、
為替が「100円」円高に振れても、ビクともしないのだ。

実際には、為替が100円も変動することは、あり得ない。
従って、トヨタが倒産することは、ほぼ想定されない。

我々、個人事業者も、トヨタを見倣わねばならない。

収入の減少や支出の増大に対応するためには、
少なくとも、「月商の2ヶ月分」の現金は、
常に「事業口座」に確保しておく必要があろう。

そして、家計においても、
「生活口座」には「生活費の2ヶ月分」、
「決済口座」には「カード利用限度額+翌月税金」
をそれぞれ確保しておく必要があるね。

私も、あと十数年は弁護士を続けるはず。
規模としては、これ以上大きくすることはあり得ないが、
今の規模を、この先、ずっと保持できるよう、
とにかく「現金を確保」することに注力しなければ。

まあ、ここ10年くらいは、
何とか、現金の確保は順調にいってるんだけど、
一時期、とっても「資金繰り」に困ったことがあったねえ。

最大の原因は、「税金の支払」だった。
税金は、ホントに「遅れて」やってくるから、大変。

確定申告に基づく所得税・消費税。
それに、予定納税・消費税中間納付・個人事業税・住民税。
ぜ~んぶ、「前年の実績」に応じて課税されるからね。

だから、前年だけドッと儲かったり、
逆に、今年だけドッと落ち込んだりすると、
税金が払えない!っていう事態に陥りがちなのだ。

ここ最近、そういう事態に陥っていないということは、
ある程度、実績が安定してきている、という有り難い話。

さて、家族が1人減って寂しい限りだけど、
今年の夏には、家族全員での「沖縄旅行」を予約済みだ。

これを楽しみに、夏まで、突っ走りたいっすねえ!