法人のお客様For Businesses

経営/法律の各顧問契約、そして中小企業法務において、弁護士と中小企業診断士の[2つの資格]を活かし、
法律問題にとどまらず、企業経営全般に及ぶトータルサポートを実践いたします。

なぜ「中小企業法務」なのか?

中小企業と弁護士の「遠い」距離

当事務所では、法律分野ごとの「縦割り」のご説明に代えて、敢えて「中小企業法務」という「中小企業」という法主体に絞った「横割り」のご説明をさせて頂きます。勿論、ここでの「中小企業」には法人のみならず個人事業者も含みます。

では、何故、「中小企業」にターゲットを絞ったかと言えば、

本来、最も弁護士の支援が必要なのは中小企業なのに、
最も弁護士との距離が「遠い」のもまた中小企業である。

と切実に感じているからです。

当事務所は、<クライアントの皆様お一人お一人に、最上級の「安心」と「納得」をお届けすること>を経営理念に掲げています。
そして、特に中小企業の皆様と弁護士の距離の隔たりを何としてでも縮めていき、中小企業から全幅の「信頼」を頂戴できる存在へと成長させて頂きたい、というのが当事務所の切なる願いでもあります。
中小企業における弁護士の必要性、とりわけ「予防法務」の重要性については「法律顧問」のページにおいてご説明させて頂いておりますので、是非ともご一読下さい。

以下では、中小企業と弁護士との距離の隔たりについて触れてみます。


中小企業の「法務」意識

大企業でも一般市民でも、法律問題は弁護士に相談するのが一般であり、中小企業に比べれば「早い」時期に弁護士にアクセスしている気がします。
大企業であれば、日常的な法律問題は法務部が対応していますが、法務部で対応できない法律問題が浮上すれば、即座に法律顧問が対応します。大企業では、予防法務が適正に実施されているのは当たり前であり、一歩進んで、戦略法務の分野を如何に充実できるかが差別化要因となっています。

一般市民の場合も、弁護士への相談は比較的スムーズと言えます。
もちろん、大企業のように相談できる特定の弁護士を確保しているという人は少ないでしょうが、一般市民が法律問題に遭遇するのは頻繁ではなく、通常は、本人にとっては「人生の一大事」と考える場合が多いので、比較的早い時期に弁護士に相談する(駆け込む)傾向にあるのです。

ところが中小企業の場合は、驚くべきことに、法律問題を弁護士に相談するということ自体が稀であるようです。
この最大の要因は、中小企業の「法務」に対する意識の低さにあるのではないかと考えています。

企業と経営資源の関係を人体と食物の関係に例えてみるならば

  • 人体を動かすエネルギー源である炭水化物などに相当するのが「カネ」
  • 人体を組成するタンパク質などに相当するのが「ヒト」
  • 人体の免疫機能を高めるビタミンなどに相当するのが「チエ」

だと考えられましょう。

そして、企業においては、営業・財務が「カネ」に関する活動、労務が「ヒト」に関する活動、法務が「チエ」に関する活動だと位置づけられます。

個人の日常生活においても、空腹時には、サラダやフルーツよりもおにぎりやステーキに手が伸びますし、自分自身の健康に気を遣い始めるのは何かしら大病を患ってからです。
体に良いかどうかなどという視点は、忙しい現代人の日常生活では完全に忘れ去られてしまいがちです。

中小企業経営も全く同様です。経営資源に乏しい中小企業としては、どうしても売上アップや経費削減・資金繰りといった「カネ」にのみ関心が集中してしまい、その結果、「営業・財務重視、労務軽視、法務無視」というパターンに陥り易いということが指摘できます。
となれば、中小企業と弁護士の距離が「遠い」ものになってしまうのは、むしろ自然な流れということなのでしょう。


中小企業の相談相手

言うまでもなく、弁護士は法律専門家なのですが、中小企業においては、法律問題ですら弁護士に相談するという意識が乏しいようです。

もっと端的に表現すれば
弁護士は中小企業の相談相手のリストにすら入っていない。
と言えます。
では、中小企業では、業務問題をどのように処理しているのでしょうか。

中小企業の業務問題の処理手順は、「上に従い、横に倣い、後に復る。」と表現されます。
「上」というのは行政や銀行など、企業を指導する立場の組織を指します。
「横」というのは同業者のことであり、「後」というのは従来からの慣例のことです。

つまり、中小企業は、問題意識が生じたら、

  1. 行政銀行などに相談して意見を聞き、その意見に従う
  2. 同業者の姿を見て、同業者のやり方を模倣する
  3. 従来からの慣例を振り返り、それに準じて同様の処理を繰り返す

というのが「普通のやり方」のようです。

1〜3の順番はどうであれ、いずれかの処理に従えば、おおかたの問題は解決する(解決したかのように見える)らしく、法律専門家に相談すること自体が稀です。

ただ、中小企業が法律専門家に相談しないかと言えば、そうでもありません。
中小企業の相談リストに載っている法律専門家は、顧問税理士や顧問社労士です。
上記に従えば、第4の相談相手ということになりますが、税理士や社労士は、企業の日常業務に深く関与していますので、最も相談しやすい外部の専門家と言えます。

確かに、税理士や社労士は法律専門家ですので、何らかの法的なアドバイスは得られるはずです。
ただ、税理士や社労士は、あくまでも税務や労務に関する法律専門家ですから、税務や労務以外の法分野については専門的理解に乏しい場合が多く、当該個別事案に適した最良の法的アドバイスが得られる保証はありません。
また、紛争処理や紛争予防という観点からの考察には長けていないということも指摘できます。
税理士や社労士の業務自体が、手続の正確さ(決まったルールを忠実に守る)に重きを置くという特質を有しているので、紛争解決(ルールの是非を問う、新たなルールを創設する)という視点での業務遂行には不慣れと言えます。
にも関わらず、法律専門家である税理士や社労士のアドバイスだからということで、それが唯一絶対の法的結論(正解)であると安易に信じ込んでしまう傾向にあり、後々に問題を深刻化してしまう可能性さえあります。

法律問題は全て弁護士にご相談されることを強くお勧めする次第です。